課題:問い合わせ対応が本来業務を圧迫
総務・人事担当者への問い合わせは、就業規則・経費精算・各種申請手続きなど多岐にわたり、月間1,200件以上に達していました。一件あたりの対応時間は平均15分で、担当者2名が問い合わせ対応だけで週30時間以上を費やす状況が続いていました。
既存の対応手段はメール・電話のみで、同じ質問が繰り返されるケースも多く、「マニュアルはあるが場所がわからない」「マニュアルを読んでも意味がわからない」という声が多数上がっていました。
解決策:RAG + GPT-4 による自社ナレッジボット
社内に蓄積された就業規則・経費精算規程・各種申請マニュアル・FAQ文書をベクトルDB(Pinecone)に取り込み、GPT-4をLLMエンジンとするRAGシステムを構築しました。社内SlackとのAPI連携により、従業員は普段使いのSlackから自然言語で質問できます。
- 就業規則・規程文書(PDF・Word)のベクトル化と自動インデックス
- GPT-4による文書検索 + 回答生成(根拠文書を引用して回答)
- Slack Botとして社内に展開(既存のSlackワークスペースに追加)
- 回答できなかった質問を自動収集し、FAQへフィードバック
- 管理画面から文書の追加・更新が可能(非エンジニアでも運用可)
実装の詳細
既存文書のフォーマットがPDF・Word・Excelと混在していたため、まず文書のパース・クリーニング処理を構築しました。特に表組みが多い規程文書のテキスト抽出精度向上に注力し、チャンク分割戦略を最適化することで回答精度を高めました。
回答根拠となる文書のページ・セクションを明示する「引用付き回答」を実装することで、従業員が自分で原文を確認できる設計にし、誤った回答への信頼を防止しています。また、信頼スコアが閾値以下の場合は「担当者へ問い合わせてください」と自動返答する fallback 処理も実装しました。
成果・効果
導入から4週間で、月間問い合わせ件数は1,200件から200件へと83%削減されました。担当者の週30時間という工数削減は、年換算で約1,500時間・コスト換算で相当するリソースを本来業務に還元できたことになります。
自己解決率90%超により、従業員の「すぐ答えが得られる」体験も向上。問い合わせ対応の属人化が解消され、担当者が休暇中でも24時間365日対応できる体制になりました。